このような症状はありませんか?
ディスペプシアとは、胃の不快な症状や胃もたれをあらわす言葉です。
胃、食道、十二指腸などの上部消化管の症状が慢性的にある方は、この病気の可能性があります。
特に、以下のような症状に当てはまる場合、当院の消化器内科までご相談ください。
機能性ディスペプシアの症状チェック
- みぞおちの周辺に痛みが続く(心窩部痛)
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みぞおち周辺に灼熱感がある(心窩部灼熱感・胸やけ)
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食後に胃もたれを感じる
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食事を食べ始めるとすぐにおなかがいっぱいになってしまい、全部食べることができない(早期飽満感)
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げっぷや呑酸(すっぱいげっぷ)がある
このような症状のうち1つでも当てはまり、検査にて食道、胃、十二指腸には異常が無かった場合は、機能性ディスペプシアの可能性が高いと言えます。
機能性ディスペプシアとは
胃の運動機能や知覚機能が、何らかの理由で障害されて起こる病気です。検査をしても、上部消化管に炎症、潰瘍、がんなどの器質的な病変や、内分泌器官の異常などが見当たらないことが特徴です。かつては、神経性胃炎と診断されることが多かったのですが、同様の消化器症状がある病気が複数存在することが研究で分かり、過敏性腸症候群などと共に、機能性消化器疾患に分類されました。
現在は、適切な薬物療法や生活習慣の改善などで症状を治療することができます。胃の不快な症状があっても、効果的な治療を行うことができずにいる方はいつでもご相談ください。
機能性ディスペプシアは珍しい病気?
日本で健康診断を受診し、この病気が見つかる割合は6~9人に1人程度、胃に不快感があって病院を訪れた方では2人に1人程度と、一般的な病気の1つになっています。
機能性ディスペプシアの原因
発症する原因は不明ですが、食生活の乱れ、ピロリ菌感染、過剰なストレス、過度の飲酒、喫煙習慣などが要因となり、胃の運動機能や知覚機能が障害されることで発症すると考えられています。
胃の運動機能には、食べ物が食道から入ることで、胃の上部が膨らみ、消化ができるまでゆっくりと食物を溜めておく適応性弛緩、消化が終わると胃の下部を縮めて蠕動運動を強める胃排出能といったものがあります。これらの機能が障害されることで、上手く調整ができず、早期飽満感や胃もたれ、胃痛、胸やけなどが起こります。
機能性ディスペプシアは食べ過ぎが原因?
食べ過ぎ、飲み過ぎ、脂質の摂りすぎ、激辛の調味料の多用といった食習慣、コーヒーやお酒など嗜好品の摂り過ぎ、喫煙習慣、過労、不規則な暮らし、睡眠不足といった生活習慣が、機能性ディスペプシアの発症要因だけでなく、増悪要因にも繋がることが分かっています。
機能性ディスペプシアはストレスが原因?
胃などの消化管の働きは脳によって調整されています。その働きを司るものが交感神経・副交感神経でできている自律神経です。ストレスによって、自律神経のバランスが乱れることは、胃の運動機能や知覚機能が障害される要因となります。そのため、ストレスを溜め込みやすい方、疲労を感じやすい方などがこの病気になりやすいとされています。
機能性ディスペプシアの検査・診断
上部消化管の病気の症状は、どの病気も似たような症状があらわれることが多いです。機能性ディスペプシアの診断は、器質的な消化器の病気や、胃などの機能を亢進させたり低下させたりする内分泌器官の病気などが無いことを確認するためにも、除外診断が大切です。
内分泌や、消化管以外の消化器の状態を調べるために血液検査を行ったり、消化管の状態を調べるために胃カメラ検査を行ったりすることで、機能性ディスペプシア以外の病気を除外していきます。
当院では、消化器疾患を専門に診ている医師が、これらの検査を正確・安全に行うことができますのでご安心ください。
機能性ディスペプシアの治療
機能性ディスペプシアは、原因が不明なことから、食習慣、生活習慣による要因やストレス等の精神的要因から消化管の運動機能や知覚機能の異常が引き起こされていることが考えられえています。そのため、まずは食事や生活習慣の改善を中心的に行っていきます。機能性ディスペプシアは、患者様によって個人差があるため、それぞれにあわせた治療を心がけています。
生活指導
まずは、食習慣・生活習慣について詳しく伺い、問題点を改善していくようにします。食事内容や嗜好品の摂り方の改善、規則正しい食事などの生活習慣を見直していきます。喫煙習慣のある方は禁煙に努めていただきます。
また、規則正しい生活、睡眠不足の解消、入浴、適度なスポーツ、趣味などによってリラックスできるような生活習慣を作ることも重要ですが、部屋の環境などを改善していくことも大切です。
薬物療法
生活の改善や食事の改善などを行うと共に、症状の改善として、胃酸分泌抑制薬、消化管運動改善薬といった薬物療法を行っていきます。ストレスなどの精神的な要因が強い場合は、一時的に抗不安薬、抗うつ薬などを処方することもあります。
また、ピロリ菌感染によっても、機能性ディスペプシアが増悪することがありますので、ピロリ菌陽性の方は除菌治療も行います。
機能性ディスペプシアをほっとくとどうなる?
機能性ディスペプシアの症状は、薬物療法などで一時的に改善してしばらく楽になりますが、再発しやすい傾向があります。放置してしまうと、体調不良による日常生活への影響が出るだけでなく、抑うつなどの精神面への影響もあらわれることがあります。
治療を続けることで改善する病気ですが、症状が少ない時期も根本的な生活習慣の改善などを続けていくことが大切です。