大腸カメラ検査とは
大腸カメラ検査は、細くて小さなスコープを肛門から挿入し、直腸から小腸との結合部までの大腸全体の粘膜の状態を、詳しく観察することができる検査です。
大腸は、腺腫と呼ばれるポリープができやすく、一定確率でがん化することが知られています。大腸カメラ検査は、ポリープや初期の大腸がんを発見することができる唯一の検査となります。
また、検査中に病変を見つけたら、その場で切除をすることが可能です。さらに、疑わしい組織を発見した場合は、サンプルを採取し病理検査を行うことで確定診断にも繋がります。その他にも、腸管の炎症状態や出血がある位置の特定、止血処置なども可能です。つまり、大腸カメラ検査はたった半日のうちに、検査、診断、治療、そしてポリープの切除によるがん化の予防までが完了する有用な検査になります。
当院の大腸カメラ検査では、大腸カメラ検査の経験豊富な医師が検査を担当しており、最新鋭の内視鏡システムによって患者様の負担を大きく軽減できます。そのため安心して受診していただくことができます。
大腸カメラ検査は
どんな時にする?
症状のある方
大腸カメラ検査は、腸に何らかの症状があらわれている場合に受けていただきたい検査です。
血便などのはっきりした症状はもちろん、持続する腹痛や腹部膨満感、下痢や便秘、異常なガス、便が急に細くなったなどの便通異常でも、何らかの病気が隠れている可能性がありますので、大腸の粘膜を正確に観察して、異常のある部分を特定できる大腸カメラ検査が有効です。
大腸がんのリスクのある方
大腸がんは、がん全体の罹患者数や死亡率でも常に上位にあるがんです。
しかし、早期に発見できれば、大腸カメラ装置だけの侵襲が少ない治療で完治することが可能です。
早期の大腸がんや、前がん病変の大腸ポリープを発見することができるのは大腸カメラ検査だけです。
特に、血縁のご家族に大腸がんや多発する大腸ポリープを罹患した方がいる場合は発症のリスクが高まりますので、35歳を超えたら定期的に大腸カメラ検査の受診をお勧めします。
大腸カメラ検査で分かる病気
大腸がん
大腸がんの多くは、大腸粘膜にできる腺腫というポリープから発症します。好発するのは直腸からS状結腸のあたりですが、それ以外にも大腸全体にできる可能性があります。早期のうちであれば比較的簡単な治療で完治できるのですが、早期にはほとんど自覚症状がありません。進行すると、大腸の機能を失ってしまったり、他へ転移したりして治療が難しくなります。早期発見のためには定期的な大腸カメラ検査が大切です。
大腸ポリープ
大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる「できもの」と言われる病変で、腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分けられます。そのうち、腫瘍性の腺腫が大腸ポリープの約8割に上ります。
腺腫自体は良性のものですが、時間をかけて大きくなり、その一部が大腸がんとなるため、腺腫は前がん病変とされています。検査で発見した場合、その場で切除することで大腸がんの予防となりますが、時間が経つとまた発生することがあるため、切除後も定期的に経過観察することが大切です。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に慢性的な炎症が発生し、下痢、血便、潰瘍などの症状があらわれ、症状が激しい活動期(再燃期)と、症状が安定する寛解期を繰り返す病気です。
発症原因は不明ですが、自己免疫が関わっていると考えられています。
治療法が確立されていないため、国の難病に指定されており、確定診断のためには大腸カメラ検査が必要になります。
近年開発された抗炎症・抗菌作用がある薬を中心に治療を続けることで、発病以前の日常生活を送ることも可能になっています。
クローン病
クローン病は、消化管に慢性的な炎症が起こる病気で、潰瘍性大腸炎と同様に活動期と寛解期を繰り返します。
クローン病も発症原因に自己免疫が関わっており、確立された治療法が無く、国の指定難病です。
ただし、大腸のみに限られ連続的に炎症を起こす潰瘍性大腸炎に対し、クローン病は口から肛門まで消化管内のどこにでも炎症を起こす可能性があります。潰瘍性大腸炎と同様に、薬物療法のほか、栄養療法が必要になることもあります。
感染性腸炎
消化管にウイルスや細菌が侵入し、炎症を起こす感染症です。腹痛、下痢、血便、発熱などの他、吐き気や嘔吐などの症状があらわれることもあります。夏場は、サルモネラ菌やカンピロバクター、腸管出血性大腸菌などの細菌感染、冬場はノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス感染が多くなります。ウイルス感染の場合は対症療法と脱水予防を行い、細菌感染の場合は更に抗菌薬を使用することもあります。症状が長期間続く場合は、他の慢性疾患の場合もありますので注意が必要です。
虚血性腸炎
何らかの原因で大腸への血液循環が滞り、粘膜が虚血状態になることで急激に炎症をおこしている状態です。
突然の強い腹痛を伴う下痢があり、しばらくすると血便が出ます。また、便器が真っ赤になるほどの出血になることもあります
。虚血性腸炎は女性に多く、動脈硬化や便秘によるいきみなどが関係しているとされています。通常は、絶食して安静にすることで治りますが、稀に穿孔が起こることもあるため注意が必要です。
大腸憩室症
大腸粘膜が腹圧などによって内側へ凹んでしまい、腸粘膜に穴があいたように見えるのが大腸憩室です。
憩室自体は珍しい症状でもなく、特に治療の必要はありませんが、憩室内に便が入り込み大腸憩室炎を起こすと腹痛や発熱などの症状があらわれます。
その場合は抗菌薬を使った治療を行います。
また、憩室部分は腸管が薄くなっており、大腸憩室出血となる恐れもあり、大量の血便が見られることもあります。
過敏性腸症候群
腹痛を伴う便秘、下痢、または便秘と下痢の繰り返しなど、排便異常の症状が慢性的に続き、検査を受けても炎症や潰瘍などの器質的な病変が見当たらない場合、疑われるのが過敏性腸症候群です。
詳しい発症原因は不明ですが、何らかの要因で腸の運動機能、知覚機能に異常が生じて起こります。
発症には、ストレスなどの精神的要因も関係すると考えられており、近年増加中の病気でもあります。治療は生活習慣の見直しや薬物療法によって行っていきます。診断には、大腸カメラ検査による器質的な病気の除外診断が必要になります。
大腸ポリープの切除
大腸ポリープは、それ自体は良性のもので経過観察で良い種類のポリープもありますが、一番多い腺腫という種類のポリープは将来がん化する可能性があり、基本的に検査で発見した場合はその場で切除となります。
切除の方法はいくつかありますが、当院では大腸カメラのスコープの先端からスネアとよばれる金属製の投げ縄のような器具を出し、ポリープの茎にかけて電流を通して焼き切る「ポリペクトミー」という術式による日帰り手術を行っています。
当院の大腸カメラが
選ばれる理由
鎮静剤の利用で
大腸カメラ検査の不安、
痛みが軽くなる
大腸カメラ検査では、スコープを移動しながら粘膜の状態を観察するため、多少の圧迫感などを感じることがあります。
当院では、鎮静剤を使って痛みや不安を感じることなく検査を受けるコースをご用意しています。
完全個室での院内下剤に対応
当院では、トイレ付きの完全個室で下剤の服用をしていただくことができます。
少し広めのお部屋もご用意しておりますので、車いすの方にもご利用いただけます。
長く研鑽を積んだ
専門医による検査
大腸カメラ検査は、医師の手技や知見が大きく影響する検査ですが、当院では大腸カメラ検査の経験豊富な医師が大腸カメラ検査を担当するため、正確で安全・迅速な検査を行うことができます。
また、検査前の麻酔、鎮静剤なども患者様それぞれにあわせて行っていますので、安心してご来院ください。
最新機器の導入により
精度が高くスピーディな
検査が可能
当院では、内視鏡システムで世界をリードするフジフイルム製の最新機種を導入しています。
これは、様々な大学病院、研究所などで導入されているのと同等の機種で、最新の技術を使って見落としの無い正確な検査を安全に実施することができます。
また、使用するスコープも、医師の手技を確実に反映できる上位のものを導入しており、患者様のお身体への負担を最小限に抑えることができます。
高精細で大きな
ハイビジョンモニター
当院では、検査画像の出力にハイビジョンモニターを採用しており、高精細なカメラと画像処理システムの効果を最大限に発揮することができます。
それによって、微細な病変や異常などもすばやく見落としのない検査が可能になっています。
狭帯域光観察(NBI)が可能
当院の大腸カメラの機能では、検査中にポリープや疑わしい病変などを発見した場合、スコープの先端の照明をBLIと呼ばれる特殊なものへ即時に切り替えて、周辺の血管や組織の状態を明瞭に確認することができます。
早期大腸がんや前がん病変
である大腸ポリープの切除
も可能
大腸カメラ検査によって、前がん病変である大腸ポリープや大腸がんが発見されることがあります。発見された大腸ポリープはその場で切除が可能です。また、大腸がんの多くは大腸ポリープの内部で細胞が悪性化したものです。状態を見て早期のものであれば、その場で切除ができます。当院でも日帰り手術で対応しています。
なお、ポリープの数が多い、一定以上に大きいといった場合は、出血に対応するために入院設備のある病院を紹介した上で、後日の処置となることがあります。
胃カメラ・大腸カメラ
同日検査可能
胃やおなかに症状があらわれていて、一度は胃カメラ検査と大腸カメラ検査を受けておきたいけれど、忙しくて2日も時間を作れない方も多いでしょう。当院では、そんな方のために、胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日中に受診できるコースを用意しています。拘束時間が少なくて済むだけではなく、面倒な事前の食事制限なども1度で済む点が大きなメリットになります。
大腸カメラ検査の
流れと注意事項
1検査前の診察
大腸カメラ検査では、前日の食事制限や就寝前の下剤服用、当日の朝の腸管洗浄剤服用などの事前準備があります。また、検査時にポリープが発見された場合は日帰り手術となりますので、事前の説明事項と同意書への記入が必要になります。そのため、当院では、原則としてまずは事前に診察を受けていただいた上で、検査日程についてご相談するようにしています。
診察の内容は、現在どのような症状が出ているか、いつ頃から症状があらわれたのかなどの他、既往症、現在服用されているお薬などについて詳しく問診をした後、腹部の触診、必要であれば血液検査なども行います。その後、事前に準備していただくことや、検査の内容について分かりやすく丁寧に説明し、ご納得いただいた上で検査の日程をご予約いただいています。
なお、検査当日に便が腸内に残っていると、検査の結果に影響が出てしまいます。便秘がある方には、当日までに便秘を解消するためのアドバイスをし、必要に応じて便秘の治療を行うこともあります。
2検査前日
事前にご説明した通りのメニューで夜21時までに食事を摂っていただきます。
その後、お渡しした下剤を服用していただきます。なお、透明で糖分の含まれていないもので適宜水分は補給してください。
3
検査当日
当日の朝食は禁食です。事前にお渡しした腸管洗浄剤(下剤)を、指示通りに水を加えて作っていただき、2時間ぐらいかけてゆっくりと全てを服用していただきます。便が透明になり、排便が落ちつくまでは2時間程度かかりますので、ご予約の時間より最低でも4~6時間程度前から腸管洗浄剤の服用を始めるようにしてください。
腸間洗浄剤を内服後は、おなかが落ち着いたらご来院ください。受付を済ませていただいたら、プライバシーの保たれた個室にてお渡しした検査着にお着替えいただき、準備が整うまでお待ちください。時間がきましたらスタッフが案内いたします。検査室にお入りいただいた後、検査用のストレッチャーベッドに左側を下にして横向きに横たわっていただきます。
鎮静剤を使った検査を選択された場合は、事前に点滴を確保し、検査室でストレッチャーベッドに横たわっていただいてから鎮静剤を投与します。
検査前に、肛門にスプレー式の麻酔をかけ、スコープを挿入していき、ゆっくりと丁寧に大腸全体を観察していきます。
検査時間はおよそ15分程度ですが、ポリープを発見した場合はその場で切除となりますので、追加で10分程度時間がかかります。
鎮静剤を使用した場合は、うとうと眠っているような状態で検査が完了します。
4
検査終了後
鎮静剤を使用しない検査の場合、検査が完了してスコープを抜去したら、そのまましばらく検査室でお休みいただきます。鎮静剤を使った場合や日帰り手術(ポリープ切除)を行った場合は、リカバリールームにて1時間程度お休みいただきます。その後、検査室にて観察した画像などを基に、医師が検査の結果について丁寧に説明します。
切除したポリープや採取した組織の病理検査は、結果がでるまで2週間程度を要しますので、後日の説明となります。
検査後の注意事項につきましては、検査のみの場合は特にありません。検査終了後1時間程度経ちましたら、飲食も可能になりますが、急にボリュームのあるものを食べず、軽い食事で済ませてください。当院では、併設しているカフェで医療知識に基づいた無料のお食事をお出ししておりますので、検査後の(脱水や低血糖改善に)(水分摂取や栄養摂取に)お役立て下さい。
ポリープ切除などを行った場合には、その後1週間程度は日常生活に制限がかかります。詳しいことは医師から説明する他、注意事項のパンフレットなどもお渡ししていますので、それに従って行動してください。
大腸カメラ検査の費用
1割負担 | 3割負担 | |
大腸カメラのみ |
1,800円程度 | 5,500円程度 |
大腸カメラ+病理組織検査 | 3,000円~5800円程度 | 9,300円~17,000円程度 |
日帰り大腸ポリープ切除 | 7,600円~9,300円程度 | 22,000円~28,000円程度 |
*上記は内視鏡のみの費用で、再診料/初診料は含まれていません。
*病理組織検査、ポリープ切除については臓器数によって費用が異なります。
*ポリープ切除では短期滞在手術等基本料1も含まれています。